インタビュー
包装技術ソリューションによる物流の最適化を目指して

富士物流株式会社 様(https://www.fujibuturyu.co.jp/)物流業務、物流システム設計、物流合理化コンサルティングなど、物流に関わる幅広いサービスを提供している総合物流会社です。今回は、輸送環境記録計の活用インタビューとして、包装技術課の方々にお話しを伺いました。
会社概要と包装技術課のご紹介
---会社概要と包装技術課の業務内容について教えてください。
「富士物流株式会社は、1975年に富士電機グループから分社独立した物流会社で、『①メーカー物流として培った技術・ノウハウ』、『②24時間365日の緊急対応可能なアフターサービス物流』、『③現場力を強化するFKS(富士物流改善方式)』、『④三菱倉庫グループの物流ネットワーク力』の4つの強みを特徴としています。このような強みを生かしながら、物流センター事業、ライフサイクルロジスティクス事業、重量品輸送事業を中心に、3PL(サードパーティーロジスティクス※)サービスを推進しています。このなかで、技術・管理本部ロジスティクス技術部は3つの部門(業務設計課、FKS推進課、包装技術課)で構成され、包装技術課では、営業支援・包装技術支援、包装技術教育、包装技術の維持拡大を主な業務としています。特に当課では、包装視点から物流を最適化する『包装技術ソリューション』を提唱し、品質・コスト・環境に配慮した包装設計の実現に向けた活動を行っています。加えて、物流会社の立場から荷主様の物流環境を見える化するための取り組みとして、輸送環境記録計を活用した計測サービスも当課にて対応しています。」
※主企業に代わって、最も効率的な物流戦略の企画立案や物流システムの構築の提案を行い、かつ、それを包括的に受託し、実行すること
引用:https://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/freight/butsuryu03340.html

輸送環境記録計で計測された振動加速度波形のイメージ
輸送環境調査の具体事例
---これまで実施した輸送環境調査には、どのようなものがありますか。
「これまでに行った輸送環境調査の一部を紹介します。一つ目は、トラック走行速度が荷台振動に与える影響の調査です。この調査背景として、物流の2024年問題への対策の一部として2024年4月に高速道路におけるトラックの最高速度引き上げ(80km/hから90km/h)が実施されましたが、この最高速度増加が荷台振動にどのように影響するかが不明であったため、調査を行いました。これにより、トラック走行速度増加が荷台上の包装貨物にどの程度の影響を及ぼしているかを数値的に確認することができました。二つ目は、トラックの荷台振動波形を計測し、パワースペクトル密度(PSD)を解析し、JISZ0200に規格化されているPSDと比較検証した事例です。これは、包装貨物振動試験時に設定している試験条件(PSDプロファイルと加速度実効値)が、実際の輸送振動とどの程度の違いがあるかを確認することが目的です。これにより、JIS規格にある試験条件の妥当性や、実輸送振動との差異やその特徴について、具体的な数値をもとに評価できました。
これらの事例は自社独自に調査した事例の一部ですが、それ以外にも、様々な荷主様の要望に応じた調査を多数実施しています。特に近年では調査依頼のお問い合わせが増加している状況で、荷主様側での包装・物流改善意識の高まりを実感しており、今後も輸送環境調査の重要性は増えてくると考えています。」

輸送環境調査に関する打合せの様子
輸送環境記録計導入の決め手とは
---神栄テクノロジーの記録計を採用頂いた背景や理由を教えてください。
「神栄テクノロジーは、これまで全日本包装技術研究大会※で様々な研究開発の成果発表や、独自の技術セミナーを開催されており、輸送包装分野で広い知見を持ちながら、高い技術力のあるメーカーであることは以前から知っていました。今回、輸送環境記録計の採用には、試験機器メーカーとしての技術力への信頼に加え、国内メーカーであるメリットとして迅速な問い合わせ対応やアフターサービス体制が充実していることが決め手となりました。」
※公益社団法人 日本包装技術協会が主催する、包装技術の研鑽と交流を目的とした研究発表イベント

輸送環境記録計を操作している様子とパワースペクトル密度解析のイメージ
包装技術ソリューションの拡大に向けて
---包装技術課における今後の展開をお聞かせください。
「今後の展開の一つとして、『包装技術ソリューション』をこれまで以上に社内に浸透させながら、技術力の底上げと技術継承に向けた取り組みの推進があります。これは、事業所単位で解決できない包装課題に対し、現状では包装技術課が都度支援していますが、将来的には各事業所が自立して個別対応できるような環境づくりを目指しているためです。輸送環境調査においても、このような取り組みの一環として、今後も多数の調査を実施し、様々なパターンのデータを蓄積しながら、富士物流独自の技術体系を確立し、それを社内展開していくことが『包装技術ソリューション』の拡大につながると考えます。
このような中で、神栄テクノロジーには、輸送環境調査に関わる専門知識や技術ノウハウに関するセミナー開催や研究発表活動を、今後も継続して頂くことを期待します。」
公開日:2025/6
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