落下試験
落下試験は、その目的によって大きく2つに分けられます。1つは包装貨物落下試験であり、もう一方は、非包装製品(製品自体)の落下試験になります(Fig.5)。
包装貨物落下試験装置
包装貨物落下試験装置は、貨物の落下を高精度で再現するために用いられています。
その落下機構は、包装貨物を一定の落下高さに保持するテーブルが、瞬間的に下方向に移動した後、扇状に回転運動し、貨物を落下させるタイプ(DTS-50/80)と、切り離しフックタイプ(EMH-500/3000)、製品保持テーブルが衝突床面に格納されるタイプ(DT-300)の3種類があります。
これらは包装貨物の重量と落下試験高さによって必要な機器が選定されます。
製品落下試験機(保持落下型・回転ドラム型 落下試験機)
製品落下試験機は、保持落下型(DT-202/205)と回転ドラム型(RDT-1000)にわけられます(Fig.6)。
保持落下型落下試験機とは、製品を任意の方向に固定し、指定した高さから製品を落下させる装置です。
落下機構は、サンプルを水平方向から2本のペンシリンダで固定しておき、ガイドロッドに沿って製品固定部とサンプルを同時に落下させ、落下途中でシリンダを開放することで、サンプルのみを床面に自然落下させることができます。
これは、試験サンプルのある一定の部分(例えば携帯電話の電池の角部分など)を何度も同じ角度で落下させたい場合に非常に有効な方法です。
また試験装置の床面は鉄板ですが、製品の使用環境によっては、コンクリート、フローリング板、カーペットなど様々な床面を用意し、実環境に近い条件で試験を行う場合もあります。
回転ドラム型落下試験機は、ドラム内に製品を入れた後、一定の回転速度でドラムが回ることでランダムに落下事象を発生させる装置となります。
上記方法はいずれも、JIS-C-60068-2-31に準拠した方法で、要求される落下高さや製品の重さによって、必要な試験機を選定することになります。
この製品落下試験では高速度カメラ撮影による解析システムも提案されています(Fig.7)。
これは製品が床面と衝突し、破損する状況を高速度カメラで確認することによって、製品の脆弱部分の早期発見による製品開発期間の短縮や、構造体における落下時の形状変化の定量評価などを可能にしました。