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神栄テクノロジー株式会社
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落下衝撃の基礎シリーズ(2)落下試験機を使う理由とは?

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落下試験は、消費者がその製品を使用する過程で起こり得る落下事象や、その製品を輸送する過程で発生する落下事象を再現させることで製品や包装貨物の耐久性を検証するためのテストです。

この試験は、製品の設計段階や、改良段階で実施されることが一般的であり、製品が市場に出る前にその品質を保証するために不可欠なプロセスとなっています。

ここでは、落下試験機が利用されている背景について解説します。

落下試験機は必要なの?

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Q.私たちの社内開発品でも落下試験を行っています。ただ、人が手でモノを落とすのも、試験機で落とすのも大差ないと思うけど、試験機を使った際の違いってあるのでしょうか?

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A.落下試験とは、試験の対象となる物体を自由落下させる「単純」な試験であることから、特に軽量な製品であれば、人手で落下させて評価される場合もありますが、これには大きな問題があります。 それは試験結果のばらつきが大きくなり、試験精度が低下することです。
具体的には、人手による落下では、製品の落下姿勢や試験高さが毎回不安定になるため、試験結果にばらつきが生じてしまいます。これにより、落下試験の合否判定を見誤ることや、落下による破損の対策を正しく評価できないことなどが考えられます。

落下試験機が必要とされる理由

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下の画像を見てください。これは同じ包装貨物に対し、人手で落下させた場合と落下試験機を用いた場合で、落下させたときの貨物の落下姿勢を、高速度カメラで撮影したものです。
画像からも分るとおり、人手による落下では試験毎に貨物の落下姿勢が傾いているのに対し、落下試験機を用いることで貨物は設定した姿勢のまま落下していることが確認できます。

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さらに下の画像は、繰り返し落下時に貨物内に生じた衝撃加速度波形の一例です。これをみると、人手の落下では回数ごとに大きくばらついている一方で、 試験機による落下は回数によらず、ほぼ一定の衝撃が生じていることがわかります。
この違いの一番の原因は、落下時の貨物の傾きです。落下軸に対して、傾きが大きくなるほど、発生する衝撃加速度が他の軸に分散されるため、貨物内部に生じる衝撃加速度波形が大きく変化します。
このように試験結果にばらつきが生じると、設計に対する正しい合否判定が困難となり、市場での破損クレームなどに繋がるリスクが考えられますね。

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このことは、JIS規格のなかでもふれられています。JIS Z0202:2017「包装貨物-落下試験方法」7.a) 1)落下姿勢の設定のなかでは、

「面落下 供試品の設定は、水平度±2°とし、落下面に衝突するときの水平度も±2°が望ましい」

とあります。これは、貨物の姿勢が試験結果に大きく影響することを暗に示しており、貨物姿勢の安定性を確保することの重要性が改めて理解できます。

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落下試験に限らず、あらゆる試験において、誰が、どこで、何回試験を行っても、同じ条件を再現できる精度は非常に重要です。 人の手による落下では、製品を毎回同じ高さ、同じ角度、同じ速度で落とすことが非常に難しくなりますが、 落下試験機を使用することで、これらの条件を正確にコントロールすることができ、試験結果の一貫性を保証します。これにより、製品の設計や改良点を正確に評価することが可能になり信頼性の高い製品開発につながります。

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なるほど!実はこれまでも試験結果にばらつきがあることは、何となくわかっていましたが、今回の説明を聞いてよくわかりました。今後は品質の高い設計のために、落下試験機の利用を考えたいと思います。

落下衝撃の基礎シリーズ


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