インタビュー
より良い習慣づくりに貢献する包装・容器開発
ライオン株式会社パッケージ開発研究所では、より良い習慣づくりに貢献する日用品の包装・容器開発が行われています。 ここでは、包装貨物落下試験機の活用を中心として、現在の包装・容器開発の取り組みについて伺いました。
包装・容器開発における落下試験機の活用概要
試験対象品 | 日用品包装・容器全般(プラスチックボトル、ブリスター包装、詰め替えパウチ、段ボール箱など) |
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当時の課題 | 落下試験の再現性向上 |
試験機導入効果 | 再現性の高い落下試験が実施でき、包装の適正化に貢献 |
使用試験機 | 包装貨物落下試験機DTS-80(特殊仕様) |
ライオン株式会社 パッケージ開発研究所
---パッケージ開発研究所ではどのような業務を行っているか教えてください。「当社はハミガキ、ハブラシ、石けん、洗剤、ヘアケア・スキンケア製品、クッキング用品、薬品等の製造販売、海外現地会社への輸出を行っており、より良い習慣づくりを通して、お客様である皆様の毎日に貢献することを目指しています。
パッケージ開発研究所では、中身を入れる直接容器や製品を梱包する段ボール等の包装・容器について設計~評価~製品導入までの全ての工程に携わっています。」
開発された容器・包装の一例
落下試験機導入の理由
---現在、ライオン様での包装落下評価では、落下試験機が活用されています。落下試験機を導入することとなった、その背景について教えてください。「JIS規格の改訂(2023年に改訂されたJISZ0200包装貨物-性能試験方法一般通則)をきっかけに、これまでよりも再現性の高い評価方法への移行が必要と考え、サンプルを常に安定した姿勢で落下可能な貴社の落下試験機を導入することにしました。
また、製品が入った重い段ボールを繰返し落下させる作業は労力が必要であったため、本試験機の導入により、作業員の負担軽減も期待できます。
更に、昨今のネット通販の伸長による流通チャネルの多様化やグローバル化に伴い、従来では想定していなかった輸送条件での試験が必要となっています。このような背景も導入を検討することになったきっかけの1つとなりました。」
---神栄テクノロジー製の落下試験機をご採用いただくこととなった決め手はどこにありましたか?
「貴社の落下試験機は正立状態での落下姿勢の再現性が高いことはもちろん、オプションの治具を使用することで、人手では難しい段ボールの角落下や稜落下を精度良く再現できる点が優れています。また、機器自体の構造がシンプルで耐久性にも大きな心配はありませんでした。
特に現在活用している落下試験機は、研究的な視点から、特殊条件における破壊挙動を解析するために、標準仕様とは異なる落下高さからの落下を可能にした特注仕様をお願いし、こちらの要望通りの機器仕様を設計頂けたところが大きな決め手でした。
また、貴社は落下試験機以外にも多くの計測機器を開発しており、輸送包装に関する技術的な知見も豊富にお持ちであるため、相談させて頂くにあたっては非常に心強かったです。」
落下試験機の活用成果
---これまでの人手による落下試験を、落下試験機に切り替えられたことで、具体的にどのような成果につながっていますか。「多くの製品開発において、従来は人手で行っていた落下試験を今回導入した試験機で代替することで、これまで以上に精度の高い結果が得られています。
また、人手では難しかった高さからの落下や、正確な角落下・稜落下が可能になったことで、通常では発生しづらい条件を想定したリスク評価を正確にできるようになり、以前よりも更に適正な包装・容器の開発ができるようになりました。
今後、この落下試験機に貴社が開発した他の計測器等を組み合わせることで、現象の理解を更に深めることができると考えています。」
今後の包装・容器開発に向けた取り組み
---落下試験機の活用は、より良い包装・容器開発に向けた取り組みの一部と思われますが、今後、ライオン様が目指す包装・容器設計の姿を教えてください。「私たちはお客様にとって使いやすく、環境に配慮した包装・容器を提供し、新しい使い方を提案することで、より良い習慣づくりに貢献していきたいと考えています。
また、昨今の社会的状況から、輸送効率や省人化を考慮した生産時の作業性も求められていると認識しています。これらの点に優れた梱包形態の開発や、適正な段ボール材料及び仕切り等の緩衝材の選定においては、理論計算だけでは無く、実際にサンプルを作製し評価することが不可欠です。今後も貴社の試験機を活用しながら、適正な包装・容器の開発に取組んでいきます。」
---最後に、神栄テクノロジーに期待することについてコメントをお願いします。
「生活者のニーズが多様化し、物流業界も変化していることから、包装形態や物流形態には今後も変化が予測されます。それに伴い、新たな課題も生じる可能性があります。そのような状況においては、輸送包装のスペシャリストである貴社からぜひ新たな試験法や試験機をご提案いただき、業界をリードして頂けることを期待します。」
公開日:2024/10
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