輸送振動の基礎 正弦波/スイープ/ランダム波の違い

ここでは、振動の基礎情報として、正弦波振動、スイープ(掃引振動)とランダム波振動の違いについて解説します。

正弦波振動

図1 正弦波

正弦波振動は、加速度振幅と周波数(振動数)が固定される振動で、図1のような波形になります。振動試験方法としては、例えば、供試品の共振周波数を探索したうえで、その周波数付近での振動試験を行うときに用いられる波形です。試験規格としては、JISC 60068-2-6などがあります。

スイープ(掃引)振動

図2 スイープ波形

スイープ(掃引)振動は、図2のように加速度振幅は固定ですが、周波数が時間経過とともに変化します。この振動波形は、一般的な包装貨物の試験条件として用いられています。具体的には、包装貨物評価試験条件を規定したJISZ0200において、ランダム振動試験ができない場合の振動試験方法として設定されています。試験周波数が変化するため、包装貨物の共振⇔非共振を繰り返すような試験となります。

ランダム波振動

図3 ランダム波

ランダム振動は、振幅や周波数が固定されていない波形(図3)となります。どの時間範囲を切り取っても、その中に様々な周波数成分が含まれるため、あらゆる固有振動数を持つ部品を同時に励起できる特徴があります。

実際の輸送振動ではこのようなランダム波が発生するため、JISZ0200では、優先してこの振動波形を用いるように規格化されています。このランダム振動の条件定義は、パワースペクトル密度(PSD)となります。ただし、包装貨物振動試験方法JISZ0232では、PSDは輸送機関(トラック車種、鉄道など)や走行ルート、貨物積載条件によってさまざまに変化するため、実測されたPSDがあれば、それを用いたランダム振動試験が望ましい、という記述があります。

パワースペクトル密度に関する記事こちら