衝撃ロガーによる落下方向の判定に関する一考察

衝撃ロガーの3軸加速度センサから見た衝撃の向き

貨物が荷役中に落下すると、内容品に衝撃加速度が発生し、最悪の場合、破損に至ります。

ここで、衝撃ロガーとは上記のような衝撃加速度を簡易に測定できる記録計です。これまでに、衝撃ロガーを用いた落下高さの解析について、その一例を紹介しましたが、ここでは、落下方向の解析について考えたいと思います。

衝撃ロガーは3軸加速度センサが内蔵されているため(図1)、上下、前後、左右とその向き(符号)が得られます。たとえば、Y方向に+で記録された、という意味は、ロガーの正面から見て下方向から上に向かって衝撃が発生したことを意味します。

図1

また、図2のような梱包箱においてZ方向に+の加速度を記録した場合、貨物が底面方向に落下したと想定できます。

このように、衝撃ロガーの設置状況に対し、発生した加速度の符号およびその大きさによって、衝撃の方向が特定できます。

図2

落下方向判定の考え方(一例)

ここでは面落下、りょう落下、角落下の区分する方法の一例を紹介します。まず、貨物内部に衝撃ロガーを設置した貨物に対し、包装貨物落下試験にて面落下試験を行います。このとき発生した落下方向の加速度に対し、それ以外の軸の加速度値から、面落下時の条件を設定します。

方向の判定条件の一例として、3軸加速度から得られる角度を指標にすることが考えられます。図3のように卓越加速度に対して、それ以外の軸の加速度から、面落下時における角度が得られます。(※ここでは貨物そのもの角度を割り出しているのではなく、あくまで発生した加速度から算出される角度を指しています。実際に面落下させても、ロガーの特性上、少なからず他軸に加速度は発生します。)

落下試験の面落下で得られた3軸加速度から、それぞれの角度を求め、それを方向判定基準とします。その後、実際の輸送データによる3軸加速度から角度を算出し、その角度のいずれもが判定基準以内であれば面落下、1つの角度が判定基準以上であれば、りょう落下、2つの角度が判定基準以上であれば、角落下という区分ができます。

図3

衝撃ロガーの3軸加速度からの方向判定についてまとめると、

①貨物内部に設置した衝撃ロガーの位置関係を確認

包装貨物落下試験にて、面落下を実施

③落下試験で得た卓越加速度とそれ以外の2つの軸から、それぞれ角度を割り出す

④実際の輸送データの3軸加速度から、卓越加速度(3軸で最も大きい)に対する、それぞれ角度を算出する。

⑤④のデータのうち、両方の角度が③以内であれば面落下、1つの角度が③以上であればりょう落下、両方の角度が③以上であれば角落下と判定する。

最後に

以上は、測定時の梱包箱が立方体に近い場合に当てはまりやすいと考えられますが、直方体の場合は更なる検討の余地があることに留意する必要があります。また今回、3軸加速度から算出される角度を基準とした方向区分としましたが、その他の区分方法も考えられます。ここに記述した方法は、あくまでも一例であることを念頭に、ご参考として頂ければ幸いです。

衝撃ロガーShockViewについて

衝撃ロガーShockViewこちら(Amazon)からご購入ができます。