MIL規格による落下試験(MIL-STD-810)

 製品評価試験における合格基準として様々な規格が存在し、その中で世界最高峰の厳しい基準が設けられているのがMIL規格(ミルスペック)です。MIL規格とはアメリカ国防総省が定めた規格であり、一般的にアメリカ軍が調達する物資の調達に対して過酷な環境でも問題なく利用できるように定められている品質基準です。この米国防衛装備品のための環境試験には、温度・湿度・高度・振動・衝撃・耐水など様々な条件が定められています(MIL-STD-810)。

 米国防衛装備品の中には、私たちが日常利用する民生品においてはスマートフォンやノートPCといったモバイル端末もあります。これらモバイル端末は持ち運びされることが想定されており、気候条件や使用条件に合わせた製品評価試験が重要視されます。特に、モバイル端末の主な破損要因は落下時の衝撃であり、各メーカーが製品に対する落下試験・衝撃試験を実施しています。そこで、信頼性の高い製品評価試験を実施するために、多くのメーカーがMIL-STD-810に則った試験を採用しています。

 モバイル端末はどの方向から落下するかわかりません。そのため、MIL-STD-810Gにおける落下試験では、1つの製品に対して8個の角, 12個の稜, 6個の面から床に落下させる試験を実施します(合計26方向)。ここで、落下試験を実施するためには高い繰り返し性にて指定の箇所を落下させる必要がありますが、手による落下では製品の姿勢を維持させることが難しいため、精度よく落下させるために一般的に落下試験機を用います。

 当社の試験室にはモバイル機器用落下試験機、包装貨物用落下試験機があり、大きな貨物から小さな製品まで幅広い落下試験が可能です。特にモバイル機器用落下試験機では、製品を任意の姿勢にて保持した状態にて自由落下を実施し(保持落下)、落下直前に製品を開放する仕組みとなっており、落下中の姿勢変動を防ぐことが出来るため正確な落下試験を実現します。

Fig.1 手による落下と保持落下の比較
Fig.2 モバイル機器用落下試験機 DT-202

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