輸送環境調査を行うための記録計に関わるセレクションガイドです。

輸送環境記録計の種類

輸送環境記録計とは主に3軸加速度センサ、温湿度センサ、などが内蔵された小型データロガーであり、物流中に発生する振動衝撃や温湿度の変化を数値化します。このような記録計は、以下のように大別できます。

①計測データともとに、様々な用途で解析を行うための高機能記録計(=データ解析用記録計)

②計測データをそのまま見るだけの簡易記録計(=モニタリング記録計)

上記、2つの記録計の大きな違いは、加速度データの記録方法にあります。

データ解析用記録計は、加速度を時系列波形として高速サンプリングすることで、計測後にPSD(パワースペクトル密度)解析、落下高さ解析などが行えます。これにより、物流環境から振動試験や落下試験に関わる試験条件を独自に設定することができ、再現試験を容易にします。

モニタリング用記録計は、加速度波形を記録せず代表値のみを記録する、あるいは低速サンプリング(10ms以上)でデータを連続記録するような記録計で、物流環境全体の振動衝撃トレンドを把握する場合に適しています。

輸送環境調査フローに基づく機種選定

輸送環境調査は大まかに、以下のような流れになります。これにより、機種選定が可能となります。

①調査目的の明確化

調査目的には、実輸送時の振動監視、物流品質向上や包装設計合理化などがあります。何のために輸送環境調査を行うか、計測データをどのように取り扱うかなど、その目的を明確にすることが、輸送環境調査を行う上で最も重要です。

②機種選定

①で調査目的が明確になれば、データ解析用記録計か、モニタリング用記録計が選択できます。

たとえば、調査目的が振動監視であれば、最終的に必要となるデータは加速度だけなので、モニタリング用記録計を選択します。

計測データをもとにして輸送不具合の再現試験(振動試験)を行う場合、ランダム振動試験の条件としてパワースペクトル密度が必要となるため、データ解析用記録計が必要となります。

③調査実施

ここでは②で選定した記録計を使って、輸送環境を調査します。ここで得られたデータは①で設定した目的に応じて処理できます。