輸送環境調査と包装設計の関係
上の図は、JISZ0200:2013 包装貨物-性能試験方法一般通則の付属書に記載されている図で、適正包装設計の概念を示しています。
これより、適正包装設計を実現するためには、以下の3つのパラメータが必要であることがわかります。
①外力の大きさ=実際の物流環境に近い包装貨物試験条件の設定
②製品そのものの機械強度=損傷境界曲線の確認
③緩衝材料の緩衝特性データ=クッションカーブを用いた緩衝材料量の適正化
ここで、①では輸送環境記録計を用いて実際の輸送環境で発生する振動、衝撃を計測し、得られたデータから包装貨物試験条件を独自作成することで、包装貨物に適切(過剰でも不足もない)なストレスを与えることができ、結果として包装設計が合理化します。
包装貨物試験条件は、JISZ0200に規定されていますが、この条件が各社各様の物流条件を適切に再現できているかには疑問があります。
たとえば包装貨物落下試験では、10㎏以下の貨物の場合、最大80㎝※から自由落下させるようになっています。仮に80㎝の高さを基準として包装設計を行うと、80㎝の自由落下に耐えるだけの緩衝材料を用いる必要があります。一方で実際の輸送環境では、高くとも50㎝の落下高さしか生じないよう環境であった場合、差分30㎝で緩衝材料のコストダウンが実現されます。
このように、輸送環境調査と包装設計は密接な関係があります。
(※落下高さは4段階から自社の物流環境によって選択)
適正包装設計のための輸送環境記録計
適正包装設計に関わる輸送環境調査は、データ解析用記録計が必要となります。
これは、振動試験のための試験条件である、PSD(パワースペクトル密度)や落下高さを正しく測定するためで、高速データサンプリング(例えば1000Hz以上)で計測された加速度波形(下図)が必要となるためです。