落下試験とは

製品開発から、ユーザで利用されるまでの過程において、落下衝撃事象が発生するポイントは大きく2つに分かれます。
1つは物流過程であり、もう1つは利用環境になります。どちらをより重視しなければならないかは、製品毎に異なります。たとえば据置用機器(TV、冷蔵庫など)は、使用環境では落下事象に遭遇する機会は非常に少ないため、使用環境よりも物流環境に注意しなければなりません。

一方で、スマートフォンやデジタルカメラなど小型電子機器は持ち運びが容易なため、その使用環境で落とされる危険性があり、その高さは物流環境よりも高いことが多く、使用環境の落下事象に対する対策が必要です。

これら事象を事前にシミュレートする落下衝撃試験により、機器の耐衝撃性が確認されています。
これら試験は、だれが、どこで、何回行っても同じ結果を出す必要があります。そのためには、再現性が高く、安全かつ容易に試験が実施できる、試験装置が用いられています。

モバイル機器落下試験

製品落下試験機は、保持落下型(DT-202/205)と回転ドラム型(RDT-1000)にわけられます。

保持落下型落下試験機とは、製品を任意の方向に固定し、指定した高さから製品を落下させる装置です。
落下機構は、サンプルを水平方向から2本のペンシリンダで固定しておき、ガイドロッドに沿って製品固定部とサンプルを同時に落下させ、落下途中でシリンダを開放することで、サンプルのみを床面に自然落下させることができます。

これは、試験サンプルのある一定の部分(例えば携帯電話の電池の角部分など)を何度も同じ角度で落下させたい場合に非常に有効な方法です。
また試験装置の床面は鉄板ですが、製品の使用環境によっては、コンクリート、フローリング板、カーペットなど様々な床面を用意し、実環境に近い条件で試験を行う場合もあります。

回転ドラム型落下試験機は、ドラム内に製品を入れた後、一定の回転速度でドラムが回ることでランダムに落下事象を発生させる装置となります。
上記方法はいずれも、JIS-C-60068-2-31に準拠した方法で、要求される落下高さや製品の重さによって、必要な試験機を選定することになります。

包装貨物落下試験

包装貨物落下試験装置は、貨物の落下を高精度で再現するために用いられています。
その落下機構は、包装貨物を一定の落下高さに保持するテーブルが、瞬間的に下方向に移動した後、扇状に回転運動し、貨物を落下させるタイプ(DTS-50/80)と、切り離しフックタイプ(EMH-500/3000)、製品保持テーブルが衝突床面に格納されるタイプ(DT-300)の3種類があります。

これらは包装貨物の重量と落下試験高さによって必要な機器が選定されます。