現場再現試験とは
物流現場や使用環境において、製品や貨物に生じる不具合を、試験で再現させることで物流ロスの予防や設計改善につながります。
特に物流環境では、落下衝撃加速度や振動加速度を専用計測器で測定し、得られたデータを包装試験や製品開発試験へフィードバックすることにより、製品や包装品質の向上に大きく貢献します。
包装貨物の振動試験方法を規定した規格にも、輸送条件毎に振動条件は大きく異なるため、実際の物流環境測定データを用いた試験条件を利用することが望ましい、という旨の記述もあります(下記参照)。
加速度パワースペクトル密度は路面状況、使用する車両種類など、輸送条件に大きく依存するため、測定されたデータに基づく加速度パワースペクトル密度および試験時間が利用できる場合には、このデータを用いて試験するのがよい。
JIS Z0232:2020 包装貨物-振動試験方法 7.3.1 a)
このように実際の環境を数値化し、それを試験条件に反映させることは、製品開発や包装設計にとって非常に有効です。
適正包装設計へ
現場再現試験の考え方は、包装設計の合理化の取り組みにも反映されています。具体的手順として、
① 物流環境の測定による包装試験条件の最適化(見直し)
② 製品自体の衝撃強度の測定(JISZ0119に基づく)
③ 緩衝包装設計(JISZ0235に基づく緩衝材料の数値化と包装設計)
④ 包装設計妥当性評価試験(落下試験、振動試験、圧縮試験。①の試験条件を印可する)
以上より、緩衝材の最低限の使用量で、最適な緩衝効果が得られる、適正包装設計が実現できます。