JISZ0200:2023 包装貨物落下試験規格における落下試験条件について
JIS Z0200:2023 包装貨物-性能試験方法一般通則
包装貨物の緩衝設計における衝撃吸収性能を評価するために、包装貨物落下試験が実施されます。このとき、どのように試験条件を決められていますか?試験条件の決定方法は主に3パターンが考えられます。
- 公的試験規格
- 社内独自規格(公的試験規格のカスタマイズ含む)
- 顧客からの指定条件
このとき、1.公的試験規格から試験条件を採用する場合、日本国内ではJISZ0200 包装貨物-性能試験方法一般通則がメジャーです。当該規格は、落下試験だけでなく、振動試験、圧縮試験など、包装貨物評価試験全般における試験条件が設定されています。なお、当該規格は2023年に改訂されました。
当該規格(2023年度改訂版)における落下試験条件は、包装貨物の質量区分ごとに区分けされています。4段階のレベル区分は、レベル1がもっとも厳しい条件となる輸送環境で、レベル4は最も安全に貨物が運ばれる環境であることを意味しており、使用者が自社の輸送環境に応じて適したレベルを選定します。あとは落下試験対象の貨物の質量を指定すれば、試験落下高さが決定します。
試験方向・回数は、レベル設定に関係なく、質量区分によって定義されています。特記事項として2023年度の改正では、30kg以上の貨物に対して天面落下(2023年以前:1角→3りょう→6面、2023年:1角→3りょう→5面)が免除されました。
落下試験方法も同じく質量区分によってのみ規定されています。自由落下または等価落下試験による試験は、主に人的荷役を想定した試験方法で、片支持落下試験は、主に機械荷役(フォークリフト)を想定した試験方法となります。
以上から、輸送環境のレベル設定(1~4区分)と、試験対象貨物の質量がわかれば、試験条件が決まるような構成となっています。これら情報を下の表に整理しました。
質量(kg) | 落下高さ(mm) | 落下方向 および回数 |
試験方法 | |||
レベル1 | レベル2 | レベル3 | レベル4 | |||
0-10 | 1000 | 800 | 600 | 400 | 1角→3りょう→6面 | 自由落下 等価落下 |
10-20 | 800 | 600 | 450 | 350 | 1角→3りょう→6面 | 自由落下 等価落下 |
20-30 | 600 | 450 | 300 | 200 | 1角→3りょう→6面 | 自由落下 等価落下 |
30-40 | 400 | 350 | 250 | 150 | 1角→3りょう→5面 | 自由落下 等価落下 |
40-50 | 400 | 300 | 200 | 100 | 1角→3りょう→5面 | 自由落下 等価落下 |
50-100 | 250 | 200 | 150 | 100 | 1角→3りょう→5面 | 自由落下 等価落下 |
0-70 | 400 | 300 | 200 | 200 | 底面 りょう×4→底面 角×4 | 片支持落下 |
70-200 | 400 | 300 | 200 | 200 | 幅面と底面のりょう×2→反対側のりょう×2 | 片支持落下 |
200-500 | 300 | 200 | 150 | 150 | 幅面と底面のりょう×2→反対側のりょう×2 | 片支持落下 |
500- | 300 | 200 | 100 | 100 |
幅面と底面のりょう×2→反対側のりょう×2 |
片支持落下 |
包装貨物落下試験機
このような包装貨物落下試験を行う場合の試験装置は以下をご参考ください。
- 自由落下試験に適した試験機:DTSシリーズ(最大80kgまで)、DT-300(最大300kgまで)、DT-20e(最大20kgまで)
- 等価落下試験に適した試験機:ASQシリーズ、MDSTシリーズ、SDSTシリーズ
- 片支持落下に適した試験機 :EMHシリーズ(最大3000kgまで)
その他、包装設計、落下試験に関連する情報は下記もご利用ください。