製品が破損するときの衝撃加速度の条件とは?

物体が自由落下し、床面に衝突すると、物体には衝撃加速度パルス(図1)が発生します(詳細はこちら)。

このとき発生した衝撃加速度パルスがある条件をみたすことで、製品は破損することが知られています。

図1 正弦半波衝撃パルスと用語

製品破損条件の指標としては「損傷境界曲線(またはダメージバウンダリーカーブ)(図2)」があり、JISZ0119「包装及び製品設計のための製品衝撃強さ試験方法」にて実験的に明らかにすることが可能です。

この図の縦軸は製品に発生する衝撃パルスの最大加速度、横軸軸は製品に発生する衝撃パルスの速度変化を示し、製品が破損するときの境界線(図2中赤線)を示しています。ここで、限界の速度変化は「許容速度変化」、限界の最大加速度を「許容加速度」と呼び、製品に生じる衝撃加速度パルスの最大値とその速度変化が、図中のどこにマッピングされるかによって破損するかどうかが判断できます。

図2 損傷境界曲線

たとえば、許容加速度50G、許容速度変化5m/sとなる製品がある場合、この製品に対して、①最大加速度80Gー速度変化6m/sとなるような衝撃が発生すると製品は破損しますが、②40G-8m/sや③500G-1m/sのような衝撃加速度であれば問題がない(破損しない)ことがわかります。

ここで、上記③のような最大加速度が非常に高く、速度変化は小さい衝撃パルスの特徴として、その作用時間(図1)は非常に短くなることが挙げられます。たとえば500G-1m/s(正弦半波の場合)は、作用時間は0.32ms(ミリ秒)となります。このような衝撃パルスでは、いくら最大加速度が大きくても、製品内部に破損させるだけの衝撃加速度が十分に伝搬しないため、製品は破損には至らないことになります。

またこの領域で生じる作用時間の非常に短い衝撃パルスは、製品が床面に緩衝材なし(非包装状態)で直接落下することを想定した条件といえます(速度変化と落下高さの関係はこちらを参照)。したがって許容加速度とは、製品が緩衝材なしの状態で、どの落下高さまで耐えられるかを示した指標といえます。

このように、製品破損における衝撃パルス条件は、最大加速度と速度変化となります。

速度変化をとらえる加速度計測ツール

このように落下時に発生する衝撃加速度波形を記録できる装置に、加速度計測システムショックマネージャがあります。

ショックマネージャ

損傷境界曲線のための衝撃試験機

JISZ0119に沿った衝撃強さ試験(損傷境界曲線を得るための試験)を行うことができる試験機として、衝撃試験機ASQシリーズがあります。

ASQシリーズ