衝撃加速度波形における速度変化の意味とは?

衝撃加速度波形(衝撃パルス)の形状は、正弦半波(図1)、台形波、のこぎり波、などさまざまな形状があります。

図1 正弦半波衝撃パルスと用語

ここで、これら衝撃パルスの面積は速度変化と呼ばれ、式(1)からも算出できます。式中のeとは落下する物体の反発係数(0<e<1)であり、定数となります。これより速度変化とは、落下高さのみに依存する数値であることが理解できます。

さらに、衝撃パルスを計測し、その面積から速度変化を計算でき、かつ物体の反発係数が既知であれば、式(2)(式1(1)の変形)により、その物体がどの程度の落下高さから落下したかを計算することができます。

たとえば、発生した衝撃パルスの速度変化が3m/sとなった場合、反発係数を0.5としたとき、そこから計算される落下高さは約20㎝となります。

また速度変化は、最大加速度とともに、製品の破損条件に大きく関係します。基本的には物体に発生した衝撃パルスの最大加速度が大きいほど、製品破損のリスクは大きくなりますが、速度変化が十分小さい(すなわち、落下高さが低い)場合においては、いくら最大加速度が大きくとも製品は破損しない領域が存在します。この製品損傷の条件を図示したものが、損傷境界曲線(図2)として知られており、JISZ0119にその試験方法が規定されています。

図2 損傷境界曲線

速度変化をとらえる加速度計測ツール

このように落下時に発生する衝撃加速度波形を記録できる装置に、加速度計測システムショックマネージャがあります。

ショックマネージャ

損傷境界曲線のための衝撃試験機

JISZ0119に沿った衝撃強さ試験(損傷境界曲線を得るための試験)を行うことができる試験機として、衝撃試験機ASQシリーズがあります。

ASQシリーズ