製品の耐衝撃性評価(損傷境界曲線とは)

一般的に実施されている衝撃試験はこちらのように、規定の衝撃パルス(1種類のみ)を製品に印加し、製品破損の有無を確認する方法が大半です。

しかしながら、上記の方法の場合、衝撃試験で使用した衝撃パルスに対する耐衝撃性は確認できますが、それ以外の衝撃パルスが製品に入力された場合、製品の安全性を保証することはできません。

そこで、どのような衝撃パルスであれば、製品に損傷を与えるかを明確にした指標として、損傷境界曲線(下図)があります。

損傷境界曲線イメージ図

損傷境界曲線が明確になれば、損傷領域に入るような条件の衝撃パルスであれば製品にとって悪影響になり、それ以外であれば、安全性が確保できることが明らかとなります。これによるメリットとして

・緩衝包装設計におけるターゲットが明確になり、適正包装設計に寄与する(具体的には許容加速度以下となるような緩衝包装設計を施す)

・製品開発時点で衝撃における構造的弱点が明確になるため、破損部位を改良することで、衝撃に強い製品構造設計が期待される。

が挙げられます。

この試験方法はJISZ0119に規定されており、1つの製品に対し、弱い衝撃パルスから製品が破損するまで徐々に衝撃パルス条件を増加させる試験となります。さらに、最低でも2回の異なる試験(許容速度変化試験許容加速度試験)が要求されます。このとき、許容速度変化試験は、正弦半波パルスが用いられますが、許容加速度試験においては、台形波パルス(下図参照)と呼ばれる特殊な衝撃パルスが必要となります。

衝撃パルスの種類(上:;正弦半波、下:台形波)

上記の試験が実施できる衝撃試験機はこちらをご参照ください。